自然発信コラム

安心できる赤ちゃんの育て方

発信者プロフィール

発信者:中隈 翔子

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中隈 翔子

(なかくま しょうこ)

助産師。

2020年に出張専門の助産院いとはを開院。

鹿児島県鹿屋市を中心に、志布志市、東串良町など大隅地域で、出張ベースで活動中。

妊娠中の相談や産後ケア訪問、乳房マッサージや授乳に関する相談、子育てに関することなど幅広く対応。

◎インスタグラム

https://www.instagram.com/itoha_mw/

◎ブログ

https://profile.ameba.jp/ameba/alongstory-inmyplace/

◎WEBサイト

https://itoha.amebaownd.com/posts/11197100/

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【産前】母乳で育児をしてみたいお母さんへ

今回は、おっぱい・母乳育児のお話をしようと思います^^
ただし、母乳育児のお話をする前に大切にしたい前提として、ミルクでの育児がよくないとは思っていないということを、はじめにご理解くださると嬉しいです^^

母乳で子育てしたいと答える人は9割だけど・・・

実は、妊娠中の女性に向けた厚生労働省の調査によると、「母乳で子育てしたい」と答える人は約9割。
でも・・・ 生後1〜2ヶ月時に母乳だけで赤ちゃんを育てているお母さんは、その半分にも満たないのが現状です( ; ; )

これは、決してお母さんたち自身に「母乳で育てるチカラがない」というわけではありません。
もちろん、お産後の大量出血や、それに伴い脳に影響を受けて母乳に関連するホルモンの分泌不全などがある場合などに、乳汁分泌不全ということはあると思いますが、割合的にはそんなに多くないと思います。

「お母さんの母親も出なかった」などの遺伝的な要素もよく言われますが、わたしはあまり関係ないと感じています(参考リンク:https://llljapan.org/faq.php?num=48)。

では何が問題?
日本で赤ちゃんを母乳で育てるのが難しいのは、たくさんの要因がありますが、いちばんの要因は、必要なときにお母さんが自信をもって母乳育児できるだけの「支援や正しい情報がない」ということだと思います。

愛情ホルモン「オキシトシン」のひみつ

おっぱいが出る仕組みは、意外にシンプル。
妊娠中からその仕組みを知っておくだけでも、母乳育児をスムーズに進めることに繋がります。

「オキシトシン」という、母乳を乳首の方へ送り出すホルモンがあります。
「愛情ホルモン」「絆ホルモン」「信頼のホルモン」と、なんだかしあわせなイメージのニックネームをたくさん持っているホルモンです(内部リンク「生まれてすぐから赤ちゃんと一緒は大変?」)。

いろいろなニックネームからも連想されるように、オキシトシンの働きは、母乳を出すだけではありません。

まず、オキシトシンといえば、実は「陣痛を引き起こすホルモン」。
陣痛といえば「鼻からスイカが出てくるほどの痛み!?」と表現されるほど辛いもののはず。
でも、人がずーっとはるか昔からそれをなんとか乗り越えられているのは、オキシトシンが子宮を収縮させながらもストレスをやわらげ、女性の心とからだを守ってくれているから。

また、おっぱいを吸われるたびに分泌されるので、授乳をするたびに言葉にならないくらいしあわせな気持ちにさせてくれたり、子宮の収縮を助けてお母さんのからだを元に戻すのを助けてくれたり、睡眠不足のママの心とからだの疲労感をやわらげ、短い時間でも質の高い睡眠をもたらす効果もあります。

早産などで「赤ちゃんを出産してすぐに会えない」「おっぱいを直接与えられない」・・・そんな環境にいるお母さんも、赤ちゃんの写真や動画を見たり、赤ちゃんを心の中でイメージしながら搾乳したりすることなどでも、オキシトシンは分泌します。


赤ちゃんに触れられる機会があるならば、その時間を少しでも増やすことで、オキシトシンの分泌がアップして、ますます愛しいと感じます。

こんな風に、女性の心とからだは、陣痛中や産後はもちろん、子育て中にもこのオキシトシンに守られ、支えられているといえます。

実は最近、オキシトシンは、出産経験に関係なく、女性や子ども、男性や動物にも分泌されることが分かってきました^^
そして、このホルモンは、リラックスすればするほど、分泌しやすいのです^^

だから、お産のときもお産後も、お母さんが自分と赤ちゃんのことにいい意味で集中できるように、リラックスできる環境はとても大切♡
もともとみなさんが持っているホルモンの力を上手に使って、自分らしいお産や子育てができたらいいなと思います。

母乳育児の支援や正しい情報が大切

コロナの影響などで孤立しがちな今だからこそ、お母さんたちの心に「あそこに行けば、あの人に相談すれば、安心できる」という場所や人の存在が必要で、そしてその選択肢がいくつもあって欲しいと願います。

赤ちゃんもお腹の中にいる時から指をしゃぶり、羊水を飲み、おっぱいを飲む練習をたくさんして生まれてきます。

ただし、お母さんと赤ちゃんは、出産後はじめて出会います。
お互い妊娠中から学び合っていても、「直接与えること・直接飲むこと」は、その日がはじめて。
だから、うまくいくことも、うまくいかないことも、当然あります。
だからこそ、適切な情報と支援、それが得られる環境が必要です。

できれば、出産後からできるだけ早く、あなたらしさを失わずに母乳について相談できる助産師さんと繋がっていて欲しいと思います。

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